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神戸新聞夕刊、随想、7/26掲載

神戸新聞夕刊、随想、7/26掲載

「秘密の手紙が届く日」

荒木スミシ

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秘密の手紙が届く日


 赤ちゃんはまだ薄い紫色をしていて、目を瞑っていましたが、

ややあって、右目だけを開いて僕を見ました。

 生まれたばかりの赤ちゃんの瞳をじっと見たことはありますか?

 妻が分娩室に入って、産声が聞こえ、その声を廊下のベンチに座って聞いた。

 やがて僕の前に、看護師さんが小さなベッドに寝かせた我が子を見せに来てくれました。

「男の子です」

 やがて閉じていた瞳が、片方だけゆっくりと開き、それがとても奇麗で、宝石みたいで、
見えているのか見えていないのかわからないけど、吸い込まれるように不思議な目なんだよ。

 見つめあった。

 赤ちゃんの瞳はきっと秘密のメッセージを持ってきてくれているんですよね。

「とにかく、ここまで、あなたが生きて来たから、ボクがいるんだよ」

 僕は自分のことをあまり肯定したことがないし、幸せも希薄にしか感じません。

 でも赤ちゃんの瞳は「100%、あなたを肯定するよ」と言っているように思えました。

 うろたえました。

 親としてまだ覚悟もできていない未熟者なんだよ。

 しかしこの小さな瞳は、そんな僕を、自己否定ばかりのちっぽけな僕を、存在すべてで肯定し、
どーんと背中を押し、何か巨大な洗濯機で、心が新しくなったみたいな、そんな「一瞬」でした。

 そうやって生まれて来た男の子も今日、七月二十六日で八歳です。

 次男は五歳。

 子供たちと時間を重ねるなかで新しい「秘密の手紙」は届き続けています。

 未来よ輝け!

 瞳よ輝け!

 今日も世界じゅうのどこかで─。


前回の神戸新聞夕刊エッセイ
「ムダノミクス」はこちらで。
http://sumishi.blog114.fc2.com/blog-entry-569.html
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